日本語教師になるにはどうすればいい?必要な条件や方法を解説

「日本語教師になる方法は?」「日本語教師に向いている人は?」
日本語は世界でも随一の難しさを誇りますが、日本の文化を好んで来日する外国人も多数います。
本記事では、日本語教師になる方法や必要資格、日本語教師に向いている人の特徴を詳しく紹介していきます。
外国人へ日本語を教える「日本語教師」を目指している方は必見です。
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日本語教師とは
日本語教師とは、名前のとおり日本語を教える仕事です。
特殊な点は、対象者が日本語学習者、つまり外国人であること。
義務教育で習う国語や、高校で習う現代文を教えるのとは少し毛色が異なります。
また、日本語教師という仕事は日本語以外に「日本の文化や風習」も教えていきます。
日本人を相手にする以上に、個々人の熟練度や知識に合わせた学習計画が必要でしょう。
日本語教師になるための条件
日本語教師の職場は、日本語学校だけではありません。
大学の留学生別科や、在日大使館なども就職先になります。
免許があるわけではないので、単純に「日本語教師」になるだけなら資格なしでも名乗ることは現状可能です。
しかし、日本語学校で教員として勤務する場合は、後述の3つの条件のいずれかをクリアする必要があります。
また、2022年現在、日本語教師は国家資格化の動きもあるため、そちらもチェックしておきましょう。
日本語教師になるために必要な資格
先ほど、日本語教師という職自体に資格や免許は存在しないと話しました。
しかし、国外含め所属する教育機関によっては教員免許が必要です。
当然といえば当然ですが、小学校で教える場合は小学校の教員免許が、中学校であれば中学校の教員免許が必要になってきます。
海外でも同様に、その国の免許を求められるでしょう。
また、制度上は高卒でも日本語教師になれますが、こちらもやはり教育機関によっては学士(4年制大学卒業)以上の学位取得を採用条件としている場合もあります。
日本語教師になるための3つの方法

さて、ではここから、いよいよ日本語教師になるための方法を紹介していきます。
日本語教師になるルートは、大きく分けて以下の3つ。
- ①日本語教師養成講座を修了する
- ②日本語教育能力検定試験に合格する
- ③大学で日本語教育を履修する
それぞれ丁寧に解説していきます。
方法①日本語教師養成講座を修了する
1つ目は「日本語教師養成講座」を修了するルートです。
「日本語教師養成講座」とは、文科庁が認定する420時間の講座で、受講すれば日本語教師に特化した知識を身につけられます。
受講費用は約50万〜60万円。
受講期間は教育機関によって異なりますが、およそ半年から1年間が相場です。
また、前提として4年制大学の卒業が受講条件となっています。
くわえて、文化庁が届出を受理している日本語教師養成講座の大半が通学制となっているため、働きながら通うという少しハードなスケジュールを強いられます。
しかし、なかにはビデオチャット機能を授業に採用したオンライン講座や、webからコンテンツを視聴する通信制講座を導入している教育機関もあります。
ただし、通信制講座の場合はスクーリングが必要なケースもあります。
受講形態についてはよく調べておくのがよいでしょう。
なお、同じ通学制の教育機関でも午前と午後のフルタイム制を選択できるところもあり、フルタイム制であれば3ヶ月のように短期的な卒業が可能です。
自分のライフスタイルに合った受講形態を選択しましょう。
もちろん、卒業するときは日本語教師として必要な素養が得られたときですが、就職活動のフォローなど卒業後のサポートをしてくれる教育機関も存在します。
アフターフォロー制度なども含めて調査してみてください。
方法②日本語教育能力検定試験に合格する
2つ目のルートは「日本語教育能力検定試験」の合格です。
「日本語教育能力検定試験」とは、公益財団法人日本国際教育支援協会が例年10月に実施している試験です。
受講要件に年齢や学歴などの縛りは一切ありません。
出願さえすれば、小学生だろうと受験できてしまいます。
内容はもちろん、日本語や日本語教育に関するものが出題されます。
ここでのポイントは「日本語」と「日本語教育」が違うという点。
日本語教師は、単に日本語だけを教える職業ではありません。
私たち日本人に向けて英語の授業をしてくれた学校教師や、受験英語を教えてくれる塾講師とは性質が少し異なります。
日本語教師は「日本語」にくわえ、それと同じくらいの濃さで「日本の文化や慣習」を教えます。
「日本語教育」とは、日本語の背景や使われてきた場面、社会的コミュニケーション、日本人的心情までもを孕んでいるのです。
実際に日本語教育能力検定試験の出題範囲を見てみると、よりわかりやすいと思います。
出題範囲は全部で以下の5つ。
- ・社会・文化・地域
- ・言語と社会
- ・言語と心理
- ・言語と教育
- ・言語一般
以上、見てみると社会領域が2つあることがわかります。
うち1つについては言語系の問題は出ません。
また「言語と心理」とあるように、日本人という民族の言語心理的な側面も学んでおく必要があります。
受験料は10,800円。
当然ですが、先述の日本語教師養成講座よりも安価です。
また、時間の制約もあまりありません。
忙しくて通学できない、自学習だけで受かる自信がある、という方は選択してみてもいいかもしれませんね。
とはいえ、合格率は例年20%台の難関試験です。
大学における日本語教育の副専攻修了過程に当たる知識を問われるため仕方ありません。
最後に、受験会場のある地域を7ヶ所、以下のとおり記載しておきます。
- ・札幌
- ・仙台
- ・東京
- ・愛知
- ・大阪
- ・広島
- ・福岡
チャレンジする方は、ぜひとも合格目指して頑張ってください。
方法③大学で日本語教育を履修する
日本語教師になる2つ目の方法、先ほどの日本語教育能力検定試験では「大学における日本語教育の副専攻修了過程に当たる知識を問われる」と話しました。
つまり逆を返せば、大学にて「日本語教育に関する(副)専攻プログラム」を修了すれば、日本語教育能力検定試験に合格したのと同等の知識量と見なされます。
大学で日本語教育を履修するこの方法は、くわえて学士の学位とほか一般教養科目の知識まで身につけられます。
学士の学位は日本語教師をするにあたって必須というわけではありません。
しかし、日本語教師として就職する際、教育機関によっては4年制大学の卒業を応募要項に入れているところも多いため取っておいて損はないでしょう。
採用段階だけでなく、給与が上がるなど待遇面での利益も見込めるでしょう。
お金と時間に余裕がある人は、大学へ行くのも大いにありです。
日本語教師に向いている人の特徴
最後に、日本語教師に向いている人の特徴を独断で紹介します。
以下に8つ列挙しました。
自分に当てはまっているかチェックしてみてください。
- ・日本語や日本の文化が好き
- ・異文化が好き
- ・積極的なコミュニケーションが取れる
- ・人生経験を異国の人に伝えたい
- ・人一倍探究心が強い
- ・当たり前のことを掘りさげて考えられる
- ・考え方が柔軟で異なる価値観を受け入れられる
- ・生徒から学ぼうとできる
日本語教師はさまざまな国の人と関わる仕事です。
教えるというスキルはもちろん持ち合わせている前提で、教わることにも快感を感じられる人が向いているかもしれません。
また、異文化に触れたときに「知らない」と素直にいえる知性や、大勢が当たり前と思っている日本語や日本の文化の一歩先に踏み込んで「なぜ?」と考えられる探究心も、まさに日本語教師の素質といえるでしょう。
日本語教師になるための自分に合ったルートを探そう
いかがでしたか。
日本語教師になる方法や条件、必要資格がわかっていただけたかと思います。
日本語教師になるルートとして、3つの方法がありました。
1つ目は、420時間の講座を通学あるいはオンラインの形で受講する日本語教師養成講座。
教育機関やコースによって受講スタイルのバリエーションを豊富に選べ、社会人でも働きながら日本語教師に近づけます。
2つ目は、10,800円で受験できる日本語教育能力検定試験。
なんといっても安価で、かつ必要時間は勉強時間と試験日だけなため、お金がなかったり忙しかったりする方でも安心です。独学に自信がある方はぜひ。
3つ目は大学で日本語教育を履修する方法。
最低でも4年かかること、学費が決して安くないことは痛いですが、そのメリットも莫大。就職の際は圧倒的に有利です。
どのルートが自分に合っているのか、よく比較検討してみてください。
日本語教師を目指すあなたの、一助になれれば幸いです。
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