日本語教師が国家資格になる? 概要と変更点を解説

「日本語教師になる方法は?」「日本語教師に向いている人は?」
外国人へ日本語を教える「日本語教師」
2020年、日本語教師の国家資格化に関する資料が文化庁から報告されました。
本記事では、日本語教師になる方法や必要資格、日本語教師に向いている人の特徴を詳しく紹介していきます。
日本語教師を目指している社会人の方は必見です。
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日本語教師の国家資格化とは
現行の日本語教師は民間資格です。
そして今、日本語教師が国家資格へ格上げされる動きにあります。
もちろん変更点はいくつかあります。
また、認知度や社会的意義、待遇の交渉にも繋がるかもしれません。
とはいえ、業務という面での実態はさほど変わらないという声も見られます。
なぜ日本語教師を国家資格化する?
日本語教師の国家資格化については、昨今の情勢が背景にあるといわれています。
2019年、国は「出入国管理及び難民認定法」を改正し、外国人労働者の受け入れ体制を強化しました。
これにより、留学生や外国人労働者の数は増え、外国人に向けた日本語教育が今一度見直されることになったのです。
議論の結果、日本語教師の質や量の確保が挙がり、日本語教師の国家資格化へと繋がりました。
国家資格に変わった際の注意点
ここからは、国家資格に変わった際の注意点について解説していきます。
押さえるべきポイントは以下の2点です。
1.日本語教師になる方法が変わる
2.資格の更新が必要となる?
それぞれ解説していきます。
注意点①日本語教師になる方法が変わる
まず、日本語教師になる方法が変わります。
これまで教育機関による採用条件は存在したものの、日本語教師としての明確な資格や免許はありませんでした。
つまり、生徒さえいれば日本語教師として仕事ができたわけですが、国家資格化するとなると違います。
現在もっとも「日本語教師の資格」といえそうなものは「日本語教育能力検定試験」ですが、国家資格化したあとはこの資格取得が必要になるわけでもありません。
試験は別途新設される予定です。詳細については後述します。
なお、試験合格にくわえて教育実習の修了も条件となる予定です。
こちらものちほど詳しく説明していきます。
注意点②資格の更新が必要となる?
また、資格の更新が必要という話も聞かれますが、実際はどうなのでしょうか。
結論からいえば、現状「更新は不要」とのことです。
当初は公認日本語教師の有効期間として10年間を設ける方向で議論されていましたが、2021年7月の有識者会議にて変更。
新たな国家資格である公認日本語教師、あらため登録日本語教師に、更新は現状必要ありません。
また、多くの日本語教師がすでに合格している「日本語教育能力検定試験」の扱いについては、民間の団体が運営していることから国はとくに関与しないとのことです。
日本語教師の国家資格の取得条件
日本語教師の国家資格の取得条件についても、すでに情報が解禁されています。
当初発表された条件は以下の3つでした。
1.試験の合格
2.教育実習の履修
3.学士以上の学位
以上3つのうち、議論を重ねたうえで変更されたものもあります。
それもくわえて説明していくので、それぞれ見ていきましょう。
条件①試験の合格
試験は2部に分かれた筆記試験からなります。
日本政府は、1つが「日本語教育の実践につながる基礎的な知識を測定する試験」、もう1つは「現場対応能力につながる基礎的な問題解決能力を測定する試験」と発表しています。
試験は年に1回以上、全国各地で開催されます。
受験要件はありません。学歴や年齢、国籍も不問です。
条件②教育実習の履修
教育実習は以下の6ステップからなることが発表されています。
1.オリエンテーション
2.授業見学
3.授業準備
4.模擬授業
5.教壇実習
6.教育実習全体の振り返りを学習すること
また、教育実習の質を担保するため、教育実習担当員および教壇実習指導者の要件についても今後慎重に検討を行っていく方針です。
条件③学士以上の学位
当初は、学士(4年制大学卒業)以上の経歴が必要との話が挙がっていました。
しかし、2021年7月の有識者会議にて、学歴不問との見解が。
以下、文化庁の報告 を一部抜粋します。
「試験等を通じて一定の知識・技能を有しているか確認することを踏まえれば、日本語教師が必要とする幅広い教養と問題解決能力は必ずしも大学・大学院のみで培われるものではない点(中略)等から、学士以上の学位を資格取得要件にはしないこととする。」
とはいえ、教育機関側から「学士以上」を採用要件に組み込むことは可能です。
可能であれば学士以上の学位を取得しておきましょう。
現行の日本語教師はどうなる?
日本語教師になる過程で、すでに養成講座を受講し終えていたり、日本語教育能力検定試験に合格していたり、長期間現場で働いていたり。
そうした現行の日本語教師の経過措置について、いまだ明確な解答は発表されていません。
2021年7月の有識者会議では、上記のような日本語教師としての能力や資格がすでに保証されている人は、試験の一部の免除が検討されました。
実際、公認心理師などほかの国家資格化の例を見ても、経過措置はあると予想されます。
ただし、その詳細については続報を待つしかありません。
いつから国家資格に変わるのか?

現状の施行開始時期としては、2023年4月から一部施行、2024年以降全面施行と発表 されています。
とはいえ、発表資料には「令和6年以降全面施行?」とクエスチョンマークがついており、確定事項ではないことが伺えます。
現段階で発表されている時期は、あくまで目安として認識しておいた方がいいかもしれません。
名称が変更される?
当初、新たに国家資格化される際の名称は「公認日本語教師」でした。
有名な公認会計士や、2017年9月15日とわりと最近に施行された公認心理師 と同じですね。
しかし、2022年5月に実施された文化庁の有識者会議にて「公認日本語教師」という名称は「登録日本語教師」へと変更されることが決定しました。
「公認日本語教師」という名称が消えたことで国家資格化がされないのでは、という話も聞きますが、単純に名称が変更されただけなので注意しましょう。
日本語教師は国家資格としていっそう期待されていく
いかがでしたか。
今回は日本語教師の国家資格化について解説しました。
その経緯や注意点、取得条件がわかっていただけたかと思います。
日本語教師になるハードルはいっそう高くなりますが、それだけニーズがあるのも事実。
日本語教師を目指す方の、さらなる飛躍を応援しています。
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