日本語教師はやめたほうがいい?

「日本語教師はやめた方がいい?」「日本語教師の働き方は?」
日本語は世界でも随一の難しさを誇りますが、日本の文化を好んで来日する外国人も多数います。
本記事では、日本語教師はやめた方がいい理由や、日本語教師がおすすめな人、おすすめできない人の特徴などを詳しく紹介していきます。
外国人へ日本語を教える「日本語教師」を目指している方は必見です。
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日本語教師とはどんな働き方なのか
基本的に日本語教師は非常勤です。
いくつかの教育機関をかけ持ちして教えたり、副業として日本語教師をしたりしている人も多くいます。
数コマから働ける性質ゆえ、自分のライフスタイルに合わせた働き方ができる職といえます。
日本語教師の常勤講師と非常勤講師の違い
常勤講師と非常勤講師で実態ががらりと変わるのも日本語教師の特徴です。
それぞれ解説していきます。
常勤講師の特徴
まず、常勤講師はやはり拘束時間が長い傾向にあります。
給与面では、国内で働く場合だと年収200〜250万円ほど。
いっても年収300万円ほどです。
決して高給とはいえず、残念ながら業務量は非常勤講師よりも多くなります。
非常勤講師の特徴
非常勤講師は、副業や複数の教育機関のかけ持ちが多く、なかにはセカンドライフとしての選択も多いようです。
給与は意外にも悪くなく、1コマ45分の授業で1,700円〜1,900円となかなか高時給。
とはいえ、これは地域によってまちまちで、地方になるにつれてわかりやすく安くなります。
日本語教師はやめたほうがいいといわれる理由
なぜ日本語教師はやめた方がいいといわれるのでしょう。
その理由はさまざま考えられており、ここでは以下の4つを紹介します。
1.稼げない
2.業務量が多い
3.非正規雇用で安定しない
4.思いがけないギャップがある
それぞれ見ていきましょう。
理由①稼げない
まず一番に語られる理由は「稼げない」でしょう。
結論からいえば、これは半分正解で半分間違いです。
日本語教師は非常勤講師の割合が非常に多く、生活費を稼ごうと思うといくつかの教育機関をかけもちしなければいけません。
ただ、それではやはり体力的にしんどい側面が強い人も多く、日本語教師のみでそれなりの生活を目指す場合は常勤講師を目指さなければいけません。
しかし、非常勤講師から常勤講師になるまで、平均2年近くはかかります。
理由②業務量が多い
では、常勤講師になったら何の心配もいらないかというとそうでもありません。
常勤講師になると、今度は業務量が一気に増えます。
以下、授業以外の業務例です。
- ・教材作成
- ・留学生の生活補助
- ・進路相談
- ・生活指導
- ・その他事務作業
これらはもちろん所属する教育機関により多少は異なります。
しかし、非常勤講師よりも業務量が多いのは事実でしょう。
当然、慣れないうちはすべてこなしていくと残業も余儀なくされることが予想されます。
昨今、学校教員の多忙性、ブラック性が頻繁に取り沙汰されます。
日本語教師も、あながち他人事ではないかもしれません。
理由③非正規雇用で安定しない
正規雇用(常勤)の日本語教師と非正規雇用(非常勤)の日本語教師では、大きく実態が異なることはすでに話してきたとおりです。
では、両者の割合はおよそどれくらいなのでしょうか。
2021年に国から発表されている最新の「国内の日本語教育の概要」を参照します。
- ・全体数:39,241人
- ・常勤:6,166人(15.7%)
- ・非常勤:14,230人(36.3%)
- ・ボランティア:18,845人(48.0%)
以上からわかるように、非正規(非常勤)の割合は非常に高く、そして半数近くがボランティアという実情です。
これは戦慄するべき事態ではないでしょうか。
こういったところが「稼げない」という意見が多数見られることに繋がっているのだと思われます。
理由④思いがけないギャップがある
「日本語教師」という言葉をはじめて聞いたとき、どんなイメージを持ったでしょうか。
再三になりますが、日本語教師の仕事は大きく分けて2つあります。
1つは「日本語を教えること」です。
そしてもう1つは「日本の文化・慣習を教えること」
「日本語教師」という名称から、2つ目の仕事を知らない人が一定数います。
たとえば、学生のころ国語の成績がよかったから、本が好きでよく読むからという理由で日本語教師を目指したとしましょう。
もしかすると、イメージしていた仕事と実態がかけ離れてしまうかもしれません。
日本語教師には、日本という国そのものの広い知識が必要です。
くわえて、日本語教師の教える日本語は国語と性質が異なります。
「主格を導く助詞『が』と『は』の違い」や「なぜ漢字には複数の読みがあるのか」など、日本人の多くが普段生活しているなかで気に留めないであろうことも勉強しなければいけません。
日本語教師の職業のやりがいとは

人間は短い人生のなかで、この世界を経験する機会はあまりに少ないように思います。
ずっと日本にいる人は、他国の文化や生活様式に触れる機会もないでしょう。
そんななか、日本語教師の仕事時間は何とも特殊です。
教室には数国籍の人間がいて、それぞれまったく異なる価値観や文化観を持っています。
日本語を教えるだけでなく、さまざまな異文化を学べるのが日本語教師のやりがいです。
日本語教師をやめたほうがいい人はどんな人?
日本語教師はやめた方がいいとたびたび耳にします。
その理由も解説してきましたが「やめた方がいい人」というのも存在します。
ここでは、以下2つの例を挙げておきます。
- ・残業を絶対にしたくない人
- ・効率だけを考えて仕事をしたい人
それぞれ解説していきます。
残業を絶対にしたくない人
常勤講師になると、生徒の管理など授業以外の業務が増えます。
それは同時に、残業が増えることも意味しています。
また、非常勤講師だとしても、自分次第でどこまでも残業は出てきます。
「自分次第で」というのは、どこまで生徒と向き合うかという具合でしょうか。
生徒たちにとっては、すべてが未知の学びです。
それは、ようやく話せるくらいの幼児が、見るものすべてを尋ねるのと似ています。
「どうして犬はオスでもワン『ちゃん』なのか」
「『開けなすぎ』と『開けなさすぎ』はどちらが正しいのか」
「どうして日本は玄関・ベランダ・トイレといくつもスリッパがある家が多いのか」
義務教育や資格勉強では得にくい知識も丁寧に拾う。
日本語教師の業務量は、それを生徒にどこまで届けるか、自分の探究心がどれほどなのかに左右されます。
効率だけを考えて仕事をしたい人
日本語教師という仕事は、効率だけを考える人には務まりません。
毎日新しいことの繰り返しだからです。
常に新鮮さを浴びる仕事であり、それは同時に、常に頭を動かし続けなければならないということです。
というのも、生徒はさまざまな国からやってくる外国人です。
価値観も常識もそれぞれ違い、日本や日本語のどこに疑問を持つかもそれぞれ違います。
そのため、私たち日本人にとっては常識だと思っていたことが伝わらず、授業が思いがけない方向に逸れていくこともあります。
逆に、生徒側が日本人には理解しがたい行動を取るかもしれません。
毎日がイレギュラーの繰り返し、それが日本語教師です。
日本語教師がおすすめの人はどんな人?
さて、では逆に日本語教師がおすすめの人も見ていきましょう。
こちらは以下4つの例を用意しました。
- ・仕事でやりがいを感じたい人
- ・海外での仕事に興味がある人
- ・自分のペースで仕事をしたい人
- ・年齢に左右されずに仕事をしたい人
それぞれ簡単に解説していきます。
仕事でやりがいを感じたい人
日本語教師の一番の魅力はやりがいでしょう。
異文化に触れられるだけでなく、その先にある気づきには何ともいえない高揚感があります。
今までの当たり前が柔らかく解きほぐされていく感覚は、大きな視野の広がりを感じますよ。
海外での仕事に興味がある人
日本語教師の活躍の場は国内だけではありません。
渡日前の外国人や日系企業など、海外でも就職先はさまざま。
「海外で仕事をしたいけど日本語にも触れていたい」という人には打ってつけかもしれません。
自分のペースで仕事をしたい人
最近は働き方にも多様性が見られ、副業ブームも見られます。
比較的自由なライフスタイルを送りたい人には、非常勤の日本語教師がおすすめ。
勉強を楽しめる人であれば、仕事でありながらも自己成長の一環として楽しめそうです。
年齢に左右されずに仕事をしたい人
「年功序列の波に飲まれるのが嫌」「定年退職したけれど新しい仕事をしたい」
そんな人にも日本語教師はおすすめです。
授業では年齢どころか国籍も多種多様で、そこに優劣はありません。
また、セカンドライフとしての日本語教師も人気が高いため、50歳、60歳からでも働けます。
日本語教師はやめた方がいい理由もある。されど素敵
いかがでしたか。
今回は、日本語教師をやめた方がいい理由について解説してきました。
くわえて、日本語教師の仕事の実態や、やめた方がいい人物像などもわかっていただけたかと思います。
日本語教師という仕事は、多くの価値観に触れ、多くのやりがいを感じられる職業です。
本記事を読んで、それでも日本語教師になりたいと考えている人は、非常に大変で、しかし素敵な日本語教師の世界へ飛び込んでみてください。
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